金利が上がると株価はどうなる?金利と株価の関係

ニュースで「金利が上昇した」「長期金利が上がった」と聞いても、株価とどう関係するのか分かりづらいですよね。

金利は、企業の業績や株価の評価、投資家のお金の流れに影響します。
株式投資をするなら、知っておきたい大事なポイントです。

特に金利が上昇する局面では、高PERのグロース株が売られやすくなったり、銀行株が注目されたりと、業種や銘柄によって影響が変わります。

この記事では、金利とは何か?という基本から、金利上昇で株価が動く理由まで、投資初心者向けに分かりやすく紹介します。

金利とは?

金利とは、カンタンにいえば「お金を貸したり借りたりするときの値段」です。

金利とは?

たとえば100万円を年3%の金利で借りる場合、単純計算では1年間で3万円の利息が発生します。

お金を借りる側にとって金利は「支払う利息」、お金を預けたり貸したりする側にとっては「受け取る利息」と考えると分かりやすいです。

金利にはいろいろな種類がありますが、株式投資では主に「政策金利」と「長期金利」を意識しておくと分かりやすいです。

  • 政策金利
    中央銀行が金融政策を行う際の基準となる金利。
    企業や個人の借入金利などに影響する
  • 長期金利
    長期間のお金を貸し借りするときの金利。
    国債利回りなどが代表例。株式の評価や企業の資金調達などに影響する

政策金利が動くと、その影響は銀行の貸出金利や住宅ローン、企業の借入金利、債券市場などへ広がっていきます。

つまり、金利は株式市場とも深く関係しています。

金利と株価にはどんな関係がある?

一般的には、金利上昇は株価にとってマイナス要因、金利低下はプラス要因になりやすいと考えられています。

金利 株式市場への主な影響
金利上昇 株価の下押し要因になりやすい
金利低下 株価の押し上げ要因になりやすい

ただし、「金利が上がれば必ず株価が下がる」という単純な話ではありません

景気や企業業績、インフレ率、金利が上昇した理由などによって、株価の反応は変わります。
金利上昇=株安と決めつけるのではなく、なぜ金利が上がっているのかを確認することが大切です。

金利が上がると株価が下がりやすい3つの理由

金利上昇が株価の重しになりやすい理由は、大きく3つあります。

金利が上がると株価が下がりやすい3つの理由

1. 債券の魅力が高まり、株式と比較される

金利が上昇すると、国債などの債券から得られる利回りも高くなりやすいです。

比較的安全性が高い債券で3%の利回りを得られるのであれば、投資家は「わざわざ株式でリスクを取る必要があるのか?」と考えます。

その結果、株式から債券へ一部の資金が移動し、株価の重しになることがあります。

2. 企業の借入コストが増える

企業は事業を行うために、銀行からの借入や社債の発行などで資金を調達しています。

金利が上昇すると、新たな借入や借り換え時の金利負担が増え、支払利息が増える可能性があります。

特に借入金の多い企業では、金利上昇が利益を圧迫する要因になります。

3. 金利が上がると「将来の利益」の価値が下がる

株価は、いま稼いでいる利益だけでなく、「この会社は5年後、10年後にもっと利益を稼ぐだろう」という期待も含めて評価されています。

ここで知っておきたいのが、将来のお金と、いまのお金は同じ価値ではないという考え方です。

たとえば「いまの100万円」と「10年後にもらえる100万円」なら、いま100万円を持っていたほうが、その間に預金や債券などで運用できます。

そのため株式の価値を考える際は、将来得られる利益をそのまま評価するのではなく、「いまの価値にすると、いくらくらいなのか?」に置き換えて考えます。

このときに使われるのが「割引率」です。

10年後にもらえる100万円 いまの価値にすると
割引率 5% 約61万円
割引率 8% 約46万円

金利が上昇すると、債券などから得られる利回りも高くなり、株式投資で投資家が求める利回りも高くなりやすいため、割引率も上がりやすくなります。

すると上の例のように、遠い将来に稼ぐ利益ほど「いまの価値」が小さく評価されます

つまり、5年後や10年後の大きな成長を期待されて株価が高くなっている企業ほど、金利上昇によって株価の評価が下がりやすくなるということです。

高PER(グロース株)が金利上昇に弱い理由

金利上昇局面で特に影響を受けやすいのが、高PERで取引されているグロース株です。

高PERの株が金利上昇に弱い理由

PERは「株価が1株利益(EPS)の何倍まで買われているか」を表す指標です。

PER = 株価 ÷ 1株利益(EPS)

PERが高い企業は、いまの利益だけではなく、将来の大きな利益成長を期待して買われているケースが多いです。

PER 利益利回りの目安 見え方
10倍 約10.0% 今の利益に対して株価が比較的低い
20倍 約5.0% 成長期待もある程度織り込まれている
30倍 約3.3% 成長期待がかなり入っている
50倍 約2.0% 将来の成長を大きく先取りしている

PERの逆数は、EPSがプラスの場合、カンタンにいうと「利益利回り」として見ることができます。
たとえばPER30倍であれば利益利回りは約3.3%、PER50倍なら約2.0%です。

債券利回りが3%まで上昇すると、PER30倍の株式の利益利回り約3.3%との差は小さくなります。
両者は単純比較できませんが、「リスクを取って株を買うより、債券でもよいのでは?」と考える投資家が増え、高PER株の相対的な魅力が低下しやすくなります。

さらに、高PERのグロース株は将来の利益成長を大きく織り込んでいるため、金利上昇による割引率の上昇にも影響を受けやすくなります。

このため金利上昇局面では、企業の業績が順調に伸びていても、PERの評価が切り下がることで株価が上がりにくくなることがあります。

金利上昇に強い株・弱い株

金利上昇の影響は、企業の事業内容や財務状況によって異なります

業種・タイプ 金利上昇の主な影響
銀行 貸出金利の上昇などにより、収益改善につながる可能性がある
保険 運用利回りの改善につながる可能性がある
高PERグロース株 将来利益の現在価値が下がり、PERが低下しやすい
不動産 借入コスト上昇や、不動産購入者の負担増につながりやすい
REIT 借入金利上昇に加え、債券利回りとの比較で相対的な魅力が低下する場合がある
借入金の多い企業 支払利息の増加によって、利益が圧迫される可能性がある

ただし、同じ業種でも財務状況や事業内容によって影響は異なります。

「銀行だから買い」「不動産だから売り」と単純に判断するのではなく、個別企業の状況を見ることが大切です。

銀行株なら金利上昇で必ず上がる?

金利上昇局面では、銀行株が注目されやすくなります。

銀行は預金などで集めた資金を企業や個人へ貸し出し、その金利差などから利益を得ています。
金利上昇によって貸出金利が上がれば、利ざやの改善が期待できます。

ただし、金利上昇が銀行にとってすべてプラスというわけではありません。

急激な金利上昇では保有債券の価格が下落するほか、景気が悪化すれば融資先の業績悪化や貸倒れが増える可能性もあります。

銀行株を見る場合は、「金利が上がった」だけで判断しないことが大切です。
貸出金利、預金金利、保有債券、融資先の信用状況なども確認したいです。

高配当株にも金利上昇の影響はある?

高配当株も、金利の影響を受けます。

金利が低いときは、預金や債券から得られる利回りが低いため、3%~5%程度の配当利回りがある株式に魅力を感じる投資家が増えます。

ところが債券利回りが上昇すると、高配当株との利回り差が縮小します。

株式には株価下落や減配のリスクがあります。安全性の高い債券から得られる利回りが高くなれば、高配当株にも相対的な割高感が出る場合があります。

ただし、企業が利益や配当を継続的に増やせるのであれば、金利上昇局面でも評価される可能性があります。

個人的には、高配当株は配当利回りだけでなく、業績、EPS、BPS、配当性向、増配余地や、それらの推移を確認しています。

「良い金利上昇」と「悪い金利上昇」がある

金利上昇を考える際に大事なのが、「なぜ金利が上がっているのか」です。

景気が拡大し、企業業績や賃金が伸びる中で金利が上昇する場合は、株式市場が金利上昇を吸収できることがあります。

一方、景気が弱いにもかかわらずインフレが続き、物価上昇を抑えるために金利を引き上げる場合は、企業業績と株価の両方に逆風となる可能性があります。

主な状態 株式市場への見方
良い金利上昇 景気拡大や企業業績の改善に伴って金利が上昇 業績成長で金利上昇の悪影響を吸収できる場合がある
悪い金利上昇 強いインフレや金融引き締めなどで金利が上昇 企業の資金調達コスト増加や景気悪化につながりやすい

同じ「金利上昇」でも、その背景によって株価への影響は大きく変わります

投資家はどの金利を見ればいい?

ニュースでは政策金利が注目されますが、株式投資では長期金利も重要です。

特に高PER株の評価を考える場合、長期国債の利回りが上昇しているかどうかは確認しておきたいポイントです。

中央銀行の政策金利だけを見るのではなく、「長期金利がどの程度まで上昇しているのか」「企業の借入金利がどう変化しているのか」まで見ると、株式市場への影響を理解しやすくなります。

日本株を見るなら日本の長期金利、米国株やグロース株を見るなら米国の長期金利もチェックしておきたいです。

金利上昇局面で確認したいこと

金利上昇局面だからといって、すべての株式を一律に売ったり買ったりする必要はありません。

大事なのは、自分が保有している企業が金利上昇によってどのような影響を受けるのかを確認することです。

確認ポイント チェックする理由
PER 高PERほど将来の成長期待を大きく織り込んでいる可能性がある
借入金 借入金が多い企業は利払い負担が増えやすい
営業利益・営業CF 金利負担の増加を吸収できる収益力があるか確認できる
配当利回り 債券利回りとの差がどの程度あるか確認できる
業種 金利上昇が追い風になる業種と逆風になる業種がある
成長率 PER低下を利益成長で吸収できる企業か確認する

特に高PERのグロース株では、「業績が伸びるか」だけではなく、「現在のPERを正当化できるほど利益が伸びるのか」という視点が重要になります。

金利が下がると株価はどうなる?

金利が低下する局面では、基本的にこれまで説明してきたことと逆の動きが起こりやすくなります。

債券の利回りが低下すると株式の相対的な魅力が高まり、企業の借入コストも低下しやすくなります。

さらに割引率が低下すれば、将来利益の現在価値は高くなります

そのため、将来の成長期待が大きいグロース株や高PER株は、金利低下の恩恵を受けやすい傾向があります。

ただし、景気悪化への対応として金利が引き下げられている場合は注意が必要です。企業業績の悪化という別の問題があるため、金利低下だけを見て株価上昇を判断することはできません

まとめ

金利は、お金を貸し借りするときの値段です。

金利が上昇すると、債券の魅力が高まり、企業の借入コストが増え、将来利益の現在価値も低下しやすくなります

特に高PERのグロース株は、現在の利益よりも将来の利益成長を大きく織り込んでいるため、金利上昇によって株価の評価が切り下がりやすくなります。

一方で、銀行など金利上昇が収益改善につながる企業もあります。

金利上昇局面では「株価が上がるか、下がるか」だけを見るのではなく、保有している企業のPER、借入金、収益力、業種などを確認しましょう。

金利上昇がその企業にとって追い風なのか、逆風なのかを考えることで、投資判断もしやすくなると思います。

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